19世紀後半、馬は重要な位置を占めていました。鉄道が徐々に中・長距離の旅行に使われるようになってはいましたが、引き馬は個人にとって最も普及した移動手段でした。また、馬車は昔から裕福な階級にとって欠かすことのできない富の象徴となってきました。
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ショーモン城の厩舎(写真 Eric Sander©) |
馬は狩猟にも必要です。高貴な領主は、家紋の入った馬車を所有し、毛並みの美しい壮麗な馬たちを自慢するなど、社会的権威の象徴でもありました。その意味で、ショーモン城の厩舎は、19世紀末に裕福な家族たちが造らせた厩舎の代表的なもので、貴族階級の豊かさをよく物語っています。
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1900年の絵葉書・ショーモン城の厩舎 |
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1900年の写真・ショーモン城の厩舎 |
1877年、ヨーロッパで最も豪華で近代的な厩舎の建造が、著名建築家ポール=エルネスト・サンソンに委ねられました。サンソンは、厩舎の建物全体にレンガと石材(レンガは19世紀末に豪華な厩舎の建造によく使われていました)を使おうと決めましたが、城のファサードを飾る古い彫刻装飾のモチーフを再利用することにしました。
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1900年の写真・ショーモン城の厩舎 |
ショーモン城の厩舎は、互いに連絡する大きさの異なる2つの中庭を中心に構成されています。大きい方は城主とその家族、小さい方は招待客専用です。前者は、そこを行き来する馬や馬車、そこで働く使用人の数相応に、大変広いものです。厩舎は、昼夜を問わず休むことがありません。